EPISODE-35 浮身
クライミングの調子は日に日に良くなっていた。
しかし来る日も来る日も
6mmで離陸出来る事はなかった。
指皮が薄いのが原因なのかと思い
指皮が比較的ある時にチャレンジするもダメ。
ある程度登ってから触っているのが良くないのかと思い
ジム到着後 すぐにチャレンジするもダメ。
本当に断裂前は浮けていたのだろうか。
時が経ち 木が劣化してBeast makerが
6mmより薄くなっているのではないだろうか。
か弱き自分を受け止められず
現実逃避ばかりを頭に思い浮かべていた。
そんなある日。
ジムで体重を計っている人がいたので
流れで自分も体重計に乗ってみた。
そう言えばしばらく体重を計っていなかった。
前に体重を計った時は
確か62kgくらいだった気がする。
どれどれ。
…
66.9kg。
中学生の時「修羅の門」と言う漫画が好きだった。
簡単に言うと強そうな奴を探して倒して
地上最強を目指す漫画だ。
その主人公 陸奥九十九のプロフィールが
170cm 66kgだった。
当時 体重58kgくらいだった自分は
九十九と同じ体重66kgになれば強くなれると思い込み
晩御飯を食べた後 寝る前に
ベビースターラーメンをひたすら摂取し続け
体重66kgを目指していた。
けれども中学生の新陳代謝は凄まじく
どうしても64kg以上にはなれなかった。
時が過ぎ
遂に私は憧れの陸奥九十九と同じ体重になっていた。
…
と、ここまで下書きで書いたまま放置していた。
この文章を書いていた時から3週間くらいの時が経ち
普通に6mmで浮けるようになった。
ちなみに体重はほとんど変わっていない。
危うく自分の弱さを体重のせいにする所だった。