終点、池袋

フィクション交じりのノンフィクション

EPISODE-31 66日

クローゼットの中

ライミング用のズボンを探す。

 

いつも取り出しやすい場所を陣取っていた

ライミング用のズボンは奥へと追いやられていた。

 

鞄にクライミングシューズとチョークバックを入れる。

 

ジムまでの通い慣れた道に少しの懐かしさを感じながら

ジムへと向かう。

 

袖からはみ出した指が少しかじかむ。

 

最後にクライミングをした時から季節は変わり

すっかり冬になっていた。

 

 

私は66日ぶりにクライミングジムに訪れた。

 

 

久しぶりに会うジムの人々と談笑しながら

ストーブでクライミングシューズを温める。

 

目的はあくまでも懸垂だったのだが

今クライミングをしたらどんな感じなのか知りたくて

一番簡単なアルファベット課題を登ってみた。

 

 

思いの外 腕は全く痛くない。

嫌な違和感もない。

 

手術する前に感じていた

腕が中途半端な角度になると力が入らなくなる感じも

とりあえずはない。

 

激しい動きをしたらどうなるのか分からないけど

無理をしない程度なら既にクライミングが出来そうだ。

 

思わぬ誤算に嬉しくなった私は

懸垂する事などすっかり忘れて

久しぶりのクライミングを堪能した

 

…のも束の間。

 

本来なら

やっぱり楽しい!クライミング最高!

とか言い出しそうな局面なのだが

私が感じたのはとにかく指の皮が痛いと言う事だった。

 

しばらくクライミングをしていなかった私の指は

すべすべのベイビー状態となっていたのだ。

 

とにかく

今後まともにリハビリクライミングをするにも

まず指の皮を硬くしないとお話にならない

と言う事が分かった私は

この年末年始の休みの間に出来るだけホールドを触って

指の皮を厚くしようと心に決めた。

 

そして年末年始の休み対策として

ネットショッピングのカートに入れていた

Nintendo Switchをそっと削除した私は

1年以上振りにクライミングジムの月パスを購入した。

 

2021年 年の瀬。

 

リハビリクライミングをする為のリハビリ生活が

幕を開けた。