EPISODE-0 ポパイと呼ばれた男
ブチッ!…っと音がするでもなく
生まれてから30と数年 苦楽を共にしたベストフレンド
私の上腕二頭筋長頭腱は断裂した。
秋の訪れを感じる柔らかい風が吹いていた
のかも知れないとある土曜日。
趣味でやっているボルダリング中の出来事だった。
飛び付いてアンダー向きのホールドを止めた瞬間
右肩付近に違和感を感じ落下した。
「何か今変な感じがしたわー」
笑いながら友人に近寄る私。
そんな私を見た友人は膝から崩れ落ちた。
「え?」
歯をガクガク言わせ怯えた表情で私を見る。
「何?どうしたの?」
「ポ…ポパイ…」
私は恐る恐る自身の右腕に目を向けた。
ギャァァァァァァ
私の右腕は
腕立てを1日100回休む事なく
数年続けなければ到底到達しないはずの
激強アームレスラー状態と化していた!